国民健康保険中央会 理事長 柴田 雅人
 この度、第52回全国国保地域医療学会を開催するにあたり、主催者として国民健康保険直営診療施設及び国民健康保険関係者の皆様方に一言ご挨拶を申し上げます。
 まず、皆様方におかれましては、日頃から国民健康保険事業の円滑な運営並びに地域医療を軸とした地域包括ケアの取組みに対し、格別のご尽力を賜り心から感謝申し上げます。
 さて、超高齢社会を迎えたわが国においては、一人暮らし世帯や高齢者のみ世帯が大幅に増加することが見込まれています。去る2月17日に閣議決定された社会保障・税一体改革大綱では、国民の自立を支え安心して生活できる社会基盤を整備することで、全世代対応型の社会保障制度の構築を目指すことが明示されました。
 様々なニーズを持つ一人の人間が、住み慣れた地域でその人らしく暮らしていけるようになるためには、医師や看護師等、職種を超えた連携と同時に、専門家の力だけでなく地域住民の力を引き出すことも求められており、社会福祉や地域住民組織など、様々な形で「気づき」や「見守り」を担っておられる方々との協働が重要であります。
 国保直診が存在する多くの地域で、国保直診を中核として先駆的に地域包括ケアに取り組んで来られた実績は、これからの地域社会づくりのモデルになるものと高く評価しています。今後さらに進展する超高齢社会に対応していくには、国保直診が存在していない地域においても、この実績を活かして地域包括ケアを広げていく手掛かりにしていかなければならないと思います。
 本会といたしましても、国保や後期高齢者の医療情報、特定健診・特定保健指導などの保健情報や介護情報を総合的に活用することで、地域の保健・医療・介護に関する課題を把握し、それぞれの地域に合った効果的な対策や一人ひとりに合った包括的なケアの提供ができるようお手伝いをしていきたいと考えております。
 今回開催される学会は「地域包括医療・ケアに新しい風を 〜火の国くまもとから吹きわたる〜」をメインテーマとして掲げております。一年間取り組まれた実績を発表する場として、関係者間の相互の研鑽の場として多くの皆様のご参加をお待ちしております。
 また、国保直診の皆様と開設者が地域住民と同じ目線に立ち、共に考える場として、この学会から全国に「地域包括医療・ケアに新しい風を」吹きわたらせることを期待致しまして挨拶とさせていただきます。
全国国民健康保険診療施設協議会 会長 青沼 孝徳
(宮城県:涌谷町町民医療福祉センター長)
 東日本大震災、長野県地震から一年が経過し、少しずつ復興の動きが聞こえてきました。被災地の一日も早い復興を心より祈願申し上げます。
 さて、第52回全国国保地域医療学会が熊本県で開催されることになりました。樋口学会長をはじめ熊本県国民健康保険診療施設協議会、熊本県国民健康保険団体連合会、九州地方国民健康保険診療施設協議会、国民健康保険団体連合会九州地方協議会並びに国保直診の関係者の皆様には、大変お世話になります。その尽力に対し心から感謝申し上げます。
 政府・与党は、超高齢社会、雇用基盤の変化、社会保障費の急速な増大などを背景に現役世代も含めた全ての人が、より受益を実感できる社会保障制度の再構築を目指して「社会保障・税一体改革素案」が示され、国会での集中審議が行われているところであります。その中には、市町村国保の財政運営の都道府県単位化、高齢者医療制度の見直し、地域包括ケアシステムの創設などが含まれています。
 また、平成24年度は診療報酬・介護報酬の同時改定が行われる年であり、改正の基本的な考え方は、医療と介護の役割分担の強化と地域における連携体制の強化の推進及び地域生活を支える在宅医療等の充実等が強調されています。特に「地域包括ケアシステムの基盤強化」が介護報酬改定に示されており、その改正内容の充実が待たれるところであります。なお、今回の診療報酬改定では、自己完結した医療提供を行い医療従事者の確保等が困難かつ医療機関が少ない地域にある医療機関については、診療報酬の評価体系が見直され、一般病棟入院基本料の病棟毎の届出の可能化や医療従事者の専従要件の緩和などが認められたところであります。今後においても地域包括医療・ケアの充実への要望とともに中山間地域等医療資源不足に悩む我々国保直診に対する支援を引き続き強く要望していくこととしています。
 このような情勢を踏まえ、国診協においては公益社団法人として新たなスタートとなり、国保直診ヒューマンプランの基本理念のもと、都市部の超高齢化も視野に入れた新しい時代における国保直診の役割、機能を確立し、医師・看護師の確保等その基盤強化を図るための事業を実施することが最大の課題であります。
 このような中、本学会では「地域包括医療・ケアに新しい風を〜火の国くまもとから吹きわたる〜」をメインテーマとして、国保直診開設者サミットでは「いま、国保直診に期待されること〜開設の原点から未来へ〜」、シンポジウムでは「地域包括医療・ケアに新しい風を〜住み慣れた地域で暮らすために〜」について討議されることになっています。研究発表も多く演題をいただき、充実した内容で国保直診の進むべき道を真剣に討議したいと考えています。多くの方の参加をお待ちしています。
 第52回全国国保地域医療学会が実り多い学会となりますことを祈念しましてご挨拶とさせていただきます。
熊本県国民健康保険団体連合会 理事長 幸山 政史
(熊本市長)
 このたび、第52回全国国保地域医療学会を熊本県で開催するにあたり主催者といたしまして、国民健康保険診療施設並びに国民健康保険関係者の皆様方に、一言ご挨拶申し上げます。
 始めに、昨年3月の東日本大震災で被災された皆様には、心からお見舞い申し上げますとともに、被災地の一日も早い復興をお祈り申し上げます。
 さて、国民健康保険制度は、制度発足以来、国民皆保険制度の基盤を担い地域住民への医療の提供と健康の保持増進に寄与してまいりましたが、その財政運営は、近年ますます厳しさを増しております。持続可能な制度設計と一日も早い合意形成、そして果断な実行が望まれるところであります。
 一方、国保診療施設におかれましては、これまで保健・医療・介護・福祉を一体的に提供することによって、地域住民のニーズに応え、またこのことによって、医療費抑制、ひいては国保財政への貢献を果たしてこられました。関係の皆様方のこれまでのご尽力に、心より敬意を表する次第でございます。
 本学会は、全国の国民健康保険診療施設並びに国民健康保険関係者の皆様方が一堂に会され、日ごろの成果の発表、課題解決に向けた討議等を通して、毎年大きな成果を挙げておられると伺っております。熊本県での開催は、初めてのこととなりますが、「地域包括医療・ケアに新しい風を〜火の国くまもとから吹きわたる〜」をテーマに活発な議論がなされ、実り多き学会となることを願っております。
 昨年3月に、九州新幹線が全線開通し、関西圏等から九州への時間的な距離が著しく短縮されました。また、今年の4月からは、熊本市が全国で20番目、九州で3番目となる政令指定都市へと移行しました。熊本市は、水道水源の100%が阿蘇山の伏流水に源を発する地下水でまかなわれており、夏目漱石が五高教師として赴任した際、「森の都」と称したように、緑あふれる街であります。また、熊本城築城400年を記念して4年前に本丸御殿を復元し、さらには路面電車の軌道敷内の芝生化に取り組むなど、日本で一番暮らしやすいまちづくりを進めております。皆様方には、ぜひこの機会に熊本の魅力をお楽しみいただければ幸いでございます。
 今学会が皆様のご期待に添えるよう、関係者一同で準備を進めておりますので、全国の市町村をはじめ国民健康保険診療施設並びに国民健康保険関係者の皆様の、多数のご参加を心からお待ち申し上げます。
第52回全国国保地域医療学会 学会長 樋口 定信
(熊本県:上天草市立上天草総合病院事業管理者)
 まず、冒頭に昨年3月の東日本大震災で被災された皆様には、心からお見舞い申し上げますとともに、被災地の一日も早い復興をお祈り申し上げます。
 このたび、第52回全国国保地域医療学会を熊本市の「市民会館崇城大学ホール」と「熊本市国際交流会館」で開催することになりました。熊本県での開催は初めてのことであり、大変光栄であると同時に責任の重さを痛感しております。
 国保診療施設は、医師不足や看護師不足、市町村合併による再編や統合等、厳しい環境の中にありますが、地域包括医療・ケアの推進母体として、これまでも、そして今後とも、その中核を担っていく必要があると確信しております。
 今学会のメインテーマは、「地域包括医療・ケアに新しい風を〜火の国くまもとから吹きわたる〜」といたしましたが、私どもの思いは、さらなる「地域包括医療・ケア」の充実と発展のために、これまでの成果を踏まえつつも、新たな視点、新たな発想が地域包括医療・ケアの現場に吹きこめないかというものです。
 国保直診開設者サミットでは、開設の原点を振り返りながら、国保直診にいま何が期待されているかを考え、将来展望に立った討論を期待しております。
 シンポジウムでは、住み慣れた地域で安心して暮らすためには、どのような取組みが必要なのか、住民や保健師等さまざまな立場から発表していただきたいと思っております。
 また、NPO法人ささえあい医療人権センターCOML(コムル)理事長山口育子氏の特別講演をはじめ、研究発表やワークショップ、昼食時間を活用しての教育セミナー、さらには作家の五木寛之氏による市民公開講座等の構成となっております。どうか、多数の研究発表をお申し込みいただきますとともに、活発な討議に御参加いただきますようお願い申し上げます。
 今学会が開催されます10月初旬は、熊本県内はもとより九州各地も過ごしやすい季節となります。この機会に一人でも多くの方々に九州の自然と人情に触れていただければ幸いです。
 本学会関係者一同、皆様の御期待に添えるよう心をこめて準備を進めておりますので、全国各地の国保診療施設の皆様には、多数の御参加と御協力を賜りますようお願い申し上げます。
 最後に、本学会開催のために御尽力いただいている関係各位に心から感謝の意を表し、御挨拶とさせていただきます。
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